韓国のロッテグループを捜査中のソウル中央地検は8日、ロッテ創業者、重光武雄(韓国名・辛格浩)氏(93)を脱税や背任容疑で取り調べた。裏金づくり疑惑をめぐり、月内に重光氏の次男でグループ会長の昭夫(同・辛東彬)氏(61)を取り調べる方針。経営権をめぐる内紛に揺れるグループへの捜査は大詰めを迎えた。
長男と次男による後継争いを背景にグループの財務資料が検察に持ち込まれたとみられ、検察は父子の供述内容と照らし合わせ、最終処分を決めるもようだ。
韓国メディアの報道や検察関係者によると、重光氏は事実婚の相手の徐美敬氏や、亡くなった夫人との間に生まれた長女、辛英子被告(73)=別の背任収財などの罪で起訴=らに日本のロッテホールディングス株式を譲渡した際、約6000億ウォン(約560億円)の贈与税を脱税した疑いがある。
徐氏が経営する会社との不公正取引でグループ会社に約780億ウォンの損失を与えた背任の疑いもあり、検察は徐氏を強制帰国させて調べる方針だ。
検察は7日に重光氏に出頭を求めたが、同氏側が高齢などを理由に拒否。検事が同日、ソウル・明洞にあるロッテホテル内の執務室で面会、8日に再度訪れ取り調べた。聯合ニュースは関係者の話として、重光氏が脱税容疑に「時効ではないのか」「株譲渡を受けた者に納税義務があるのではないのか」などと主張していると報じた。(ソウル 共同)