防衛白書、中国の動き「強く懸念」 北ミサイル小型化・弾頭化の可能性

 
先島諸島周辺の接続水域を通過した中国艦艇のルフ級駆逐艦112(防衛省提供)

 中谷元(げん)防衛相は2日午前の閣議で平成28年版防衛白書を報告し、了承された。今年6月に中国海軍艦艇が日本の領海内を航行したことについて「わが国周辺海域における行動を一方的にエスカレートさせており、強く懸念される状況となっている」と危機感を鮮明にした。北朝鮮の核・ミサイル開発に関しては「核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も考えられる」とした。

 中国と北朝鮮の活動が活発化していることを踏まえ、両国に割いたページ数は27年版白書の計38ページから計48ページに増えた。

 南シナ海の軍事拠点化を含む中国の動向に関しては前年度まで「今後の方向性について懸念を抱かせる側面がある」としていた部分を今年度は「強い懸念」と表現。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺や南シナ海での活動を踏まえ、警戒レベルを引き上げたことを示した。

 また、北朝鮮が2月に発射したミサイルについて、平成24年12月に発射した「テポドン2号」改良型と断定。同じ型のミサイル発射を成功させたことを踏まえ、「北朝鮮の長射程の弾道ミサイルの技術的信頼性は前進した」と分析した。ただ、弾頭の大気圏再突入技術に関しては「さらなる検証が必要になる」とし、弾道ミサイル発射が今後も続くことを示唆した。

 在沖縄米軍基地に関しては「沖縄は、米本土やハワイ、グアムなどと比較して、わが国の平和と安全にも影響を及ぼし得る朝鮮半島や台湾海峡といた潜在的紛争地域に近い位置にある」との記述を新たに盛り込み、沖縄の地政学的重要性を強調した。

 昨年9月に成立した自衛隊の役割を拡大させる安全保障関連法関連では計10本のコラムを掲載。同法は「歴史的な重要性持つ」と説明した。