“新幹線効果”に生じる地価格差 金沢は好調、函館は伸び悩み
北陸新幹線開業から1年を迎えた金沢市はオフィス需要の高まりなどで商業地が大幅に上昇した一方、北海道新幹線の開業を控えた函館市は、下げ幅こそ縮小したもののプラスには転じていない。首都圏と行き来する利便性の違いから“新幹線効果”にも格差が生じている。
「金沢駅周辺は空き室がほとんどない」と話すのは、オフィス仲介大手の三幸エステートの営業担当者。北陸3県に進出する企業の拠点開設や拡張が目立ち、賃料が上昇している。
観光客向けの飲食店やホテルの用地需要も強く、片町などでは商業施設の開設が相次ぐ。同市の商業地は前年比4.1ポイント増の5.4%上昇した。さらに山中温泉などの観光地5地点で初めて上昇を記録するなど、新幹線効果は県内に広がっている。
北陸新幹線の開業で東京から金沢への最短所要時間は80分以上縮まり、2時間半を切った。一方、新函館北斗(北斗市)までは最短で4時間2分。函館まで乗り継ぎが必要で、時間短縮効果は限られる。
その函館市でもベイエリアを中心にホテルの新設や改装が相次いでいる。函館空港に中国、台湾便が就航し、訪日観光客の増加で宿泊需給が逼迫しているためだ。
昨年には函館アリーナが完成。函館駅前では再開発が進む。しかし商業地の地価変動率はマイナス0.6%で、下げ幅が0.6ポイント縮小しただけだった。
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