通常45人乗りの観光バスの座席数を大幅に減らし、足を伸ばし優雅な気分に浸れるようにする。そんな極上のバスツアーがお金を持っているとされる60~70代を中心としたシニア層で人気を呼んでいる。この分野で攻勢を強める大手旅行会社がクラブツーリズム(東京都新宿区)だ。平成19年秋に運行を始めた最上級バス「ロイヤルクルーザー四季の華」が今夏に10周年を迎えたのを機に、1日に新型車の運行を始めた。実際に乗車し、高級バスツアー戦略を探った。
「旅の移動時間や空間を最上の安らぎに変える」というコンセプトで設計されたのが、ロイヤルクルーザー四季の華だ。バスが単なる観光地をつなぐ移動手段としてではなく、「バスに乗ることそのものが快適空間」と実感してもらえるバスを目指したという。
初代「風号」は19年にデビュー。その後も改良を重ねて、28年には日本を代表する建築家の隈研吾氏(62)が車内デザインを監修した「海号」を、今年4月には「空号」を導入した。新たに加わる「碧(あおい)号」は約8500万円を投じ、日野自動車「セレガ」をベースに開発。なの花交通バス(千葉県佐倉市)に運行を委託した。
記者は進化を遂げた新型車の魅力を体感するため、6月下旬に行われた試乗会に参加した。