【和のスタイル】
農家である母の実家は、毎年のし餅を一族に配ります。私の家にも送ってくれました。日がたてばたつほど餅は固くなるので、すぐに切らなくてはいけません。その日、わが家で一番大きな包丁は料理を作りに来てくれていた恋人が握って離さないので小さな包丁しか残っていません。巨大なのし餅を目の前に、この包丁で全部切れるのか途方にくれそうになりました。そこで、映画を見ながら切れば気も紛れていいかもと思いつき借りておいた映画のDVDの中から「ブリット」を選びました。毎回この作業は、包丁の背が手のひらの親指の下の方の膨らんだところに食い込んで痛くなります。しかし刑事役のかっこいいスティーブ・マックイーンを目の前にすると痛みを忘れるくらい脳内麻薬が出るようで大変はかどりました。
さて、実家から送られてくる餅はでこぼこしていて、私の切り方も均等ではないせいか斜めから膨らみだしトースターの隅にはり付いてしまうこともあります。その餅を剥がすのが大変。必ずクッキングシートを敷くようになりました。冷凍した餅を焼くと、さらに行儀悪く転がりながら爆発し、隣の餅と合体してしまうことも。クッキングシートで敷居も作っておかなくてはいけません。