≪演出家・振付師、上島雪夫さん≫
初演から15年以上がたつ「テニスの王子様」を手がけた。宝塚など多くの舞台に協力した経験から、原作のイメージを損なわず、歌や踊りでマジックがかけられると考えた。テニスのマンガは、試合そのものではなく、プレーしている人間を見る。実際にボールは追えないが、歌やダンス、音響や照明を駆使すれば、やっているように見せられると考えた。
僕が若い頃、演劇は客を裏切り、偽善を剥いでいくものだと思っていた。だが今の若い世代には人間の汚さがある程度、見えてしまっている。表向きは従順でも内心は「どうせ」と思っている。2.5次元の舞台は半分はファンタジーへの逃避。でも、もう半分は「テニスの王子様」に登場する部員を裏切らない部長といった、絶対に信じられる存在を若い世代に提示したい。