環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は協定案の全文が公表され、参加12カ国は署名、発効に向けた国内手続きを進める段階に入った。巨大な自由貿易圏の誕生には、各国で農林水産品や工業品の安価な輸入品の流入による痛みを伴う。各国の議会で承認を得られるかどうかが最大の焦点となる。
TPPは太平洋を囲む12カ国が貿易の障壁となっている関税やルールを取り除き、人やモノ、お金の流れをスムーズにして各国の経済成長につなげることを狙う。
世界の国内総生産(GDP)の約36%を占める12カ国が大筋合意したことは域外国にとっては脅威の的だ。隣国の韓国がさっそく参加への意欲を表明したことがTPPの存在感の大きさをあらためて示した。
一方で参加各国にとってはマイナスの面も無視できない。日本は農林水産物の輸入拡大で生産者への打撃が予想される。競争力のあるトヨタ自動車など日本メーカーの攻勢で自動車の輸入が増える米国では、裾野の広い自動車産業を強い懸念が覆っている。