安倍晋三首相(60)は17日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画見直しを正式表明し、下村博文(しもむら・はくぶん)文部科学相(61)と遠藤利明五輪相(65)に新たな計画の作成に着手するよう指示した。東京五輪大会組織委員会会長の森喜朗(よしろう)元首相(78)、下村、遠藤両氏と官邸で会談後、記者団に「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直す。そう決断した」と語った。今後は総工費やデザインもさることながら、競技場がいつ完成するかが大きな焦点となるが、綱渡りの「時間との戦い」になるのは必至だ。
総工費1800億円規模目指す
新国立競技場の現行計画は「キールアーチ」と呼ばれる2本の巨大な鋼鉄製アーチが屋根を支える特殊な構造。このため総工費が当初計画よりも2倍近い2520億円に膨らんだことから、批判が強まっていた。
安倍首相は計画について「国民やアスリートから大きな批判があった。このままではみんなで祝福できる大会にすることは困難だと判断した」と説明。「1カ月ほど前から見直せないか検討を進めてきた。五輪までに間違いなく完成できると確信したので決断した」とも明かした。また、森氏に見直しの了解も得たとし「できるだけコストを抑制し、現実的にベストな計画をつくる」と表明した。