巨額の整備費に批判が集まっている2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアム、新国立競技場(東京都新宿区)について、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は7日、将来に向けた構想を話し合う有識者会議を開き、整備費が2520億円に膨らんだ実施設計が了承された。JSCは10月の着工を目指し、近く施工業者と契約する。
基本設計時の整備費は1625億円で、大会後に設置を先送りした開閉式屋根などの分260億円を除くと、今回との差額は1155億円。そのうち、2本の巨大なアーチなどデザインに伴う難工事に起因する増加分が約765億円に上った。
その他、消費税増税で約40億円、建築資材や人件費の高騰で約350億円となった。
JSCの河野一郎理事長は「予測できなかったこと」と弁明したが、あらためて見通しの甘さが浮き彫りとなった。
完成後、50年間で必要な大規模改修費も、昨年8月の試算の約656億円から約1046億円となり、約390億円増大。年間約3億3000万円の黒字を見込んでいた大会後の年間収支も、約3800万円の黒字と大幅に下方修正した。