国際オリンピック委員会(IOC)は8日、スイスのローザンヌで開かれた理事会で、2020年東京五輪の会場計画で未承認だった10競技のうち、セーリングなど8競技の会場を新たに承認した。実施が決まっている28競技のうち、自転車とサッカーを除く26競技の会場が決定、大会組織委員会や東京都は大幅なコスト削減を見込める状況となった。
ただ、会場が広域に分散したことによる弊害も予想され、懸案の新国立競技場(東京都新宿区)建設問題も未解決だ。
2140億円削減
「合わせて17億ドル(約2140億円)の節約が可能。IOCのバッハ会長からも大変高い評価をいただいた」。8日のIOC理事会後、組織委の武藤敏郎事務総長は計画変更によるコスト削減の見積もりを披露した。
昨年6月に舛添(ますぞえ)要一都知事が建設費の増大などへの懸念から見直しを表明。組織委と都は新設施設を減らし、既存施設を代替会場とすることで費用圧縮を模索した。追い風だったのが、IOCが昨年12月に承認した五輪改革だ。開催都市の負担軽減策として既存施設の活用が奨励され「渡りに船となった」(組織委関係者)。約1年でほとんどの会場の決着にこぎ着け、組織委の室伏広治スポーツディレクターも「ゴールが見えてきた」と安堵した。