オバマ氏と、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長(84)は昨年12月、国交正常化交渉に乗り出す方針を電撃発表し、世界を驚かせた。
長年の宿敵だったキューバとの和解はオバマ氏にとって「変革」をアピールする格好の材料。ヒスパニック(中南米系)が存在感を増す国内事情をにらみ、キューバ系移民を意識して来年の大統領選に向け民主党への追い風とする狙いもあった。
キューバは制裁の即時解除は望めないものの、国交回復によって米国を含む海外の投資を呼び込みやすくなる。
今年1月の交渉開始後、米側は首都に限定されている外交官の移動範囲拡大や本国から取り寄せる物品の制限緩和を要求。キューバ側は米利益代表部が反体制派のジャーナリストを養成していることに反発し、大使館再開後に同様の活動が拡大しかねないと懸念を示していた。
両政府は計4回の高官協議を経た。間合いを探るのは「複雑な歴史を前に容易な作業ではなかった」(ジェーコブソン米国務次官補)という。