ロバート・グラスパーやグレゴリー・ポーターのグラミー賞受賞を機にここ数年盛り上がりを見せる米国のジャズシーン。クラブ世代を通過したジャズの人気はイギリスや東京が先行していたが、今や本場の巻き返しはクラブミュージックとしての枠組みを飛び越えてヒップホップやR&Bとのリンクもあり、ますます認知を高めている。
その波及効果はベテランにもいい影響を与えている。新しいジャズへの注目の高さは若い世代特有の現象ではなく、若い感覚をもったミュージシャンであれば年齢に関係なく、同じムーブメントに属する音楽としてその作品がリスナーに受け入れられる可能性があるとも言える。それを証明するのが今回取り上げるキーボード奏者、マーク・キャリーである。