文部科学省は6日、来春から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。社会科では初めて地理、歴史、公民の全教科書が竹島(島根県隠岐の島町)と尖閣諸島(沖縄県石垣市)を取り上げるなど日本の領土に関する記述が倍増した。竹島と尖閣諸島については、今年度から使用される小学校教科書でも社会の全社が記述しており、義務教育段階で全ての児童・生徒が学ぶことになった。
今回の検定では9教科計104点が申請され、このうち自由社と、新参入の学び舎の歴史教科書が多くの欠陥があるなどとして不合格とされたが、再申請していずれも合格した。
社会科の全教科書で竹島と尖閣諸島が記述されたのは、領土問題への関心の高まりや、教科書作成の指針となる学習指導要領の解説書が昨年1月に改定され、地理、歴史、公民の全てで指導するよう明記されたためとみられる。
今回は社会科の近現代史で通説的見解がない事項の記述にその旨を明示することや政府見解を尊重する記述を求めた新検定基準も初適用され、関東大震災の朝鮮人虐殺数を「数千人」とした記述に初めて検定意見が付けられ、「通説はない」などと書き加えて合格するケースがあった。戦後補償問題では「国家間賠償は解決済み」との政府の立場などが加えられた。