無事、シェルターに入室できたとしても、その生活は決して安心できるものではない。計算すれば、1人当たり約1平方メートルのスペースしかない。天井は低く、節電のため照明は控えめにされる。密集状態では湿度も室温も上がる。外部の余分な空気が侵入しないように室内は通常より高い気圧で保たれるため、頭痛を訴える人もでてくるとみられる。
そんな環境の生活に避難者がストレスを感じるのは想像に難くない。トイレの個室が扉でなくカーテンで仕切られているのは閉じこもりを防ぐため。洗面所に鏡がないのは、壊して他人や自身を傷つける道具として使われかねないからだ。地下水のくみ上げポンプに電動式だけでなく手動式の装置があるのは、何かをすることで避難者の“ストレス発散”にもつながるとの配慮があるためだ。
今も稼働可能
2週間の滞在後、避難者はシェルターを出なくてはならないが、外部に出ても危険が去っているとの保証はない。「シェルターには生存への希望を与える心理的な機能しかない」。シュッテ氏の言葉が重く響いた。