【Viva!ヨーロッパ】
米国と旧ソ連を中心とした東西冷戦時代に最前線となった街ベルリン。旧東西ドイツ統一から四半世紀が経過した今、街は平和な雰囲気に包まれるが、それまでベルリン市民には核戦争も「現実の脅威」だった。街中に残る当時の核シェルターは、そんな緊張に包まれた時代の記憶を伝えていた。
博物館で一般公開
旧西ベルリンの繁華街クーダム通り。観光客も多く、高級ブランド品店などが並ぶ大通りの商業ビル前に、戦闘機の翼をかたどった大きなオブジェがそびえていた。ベルリンの歴史を紹介する私設博物館「ヒストリー・オブ・ベルリン」の目印だ。ビルの地下部分に併設された核シェルターも公開されている。
地下に降りると、薄暗い空間に4段の折りたたみ式ベッドを備えた鉄の枠組みがぎっしりと並んでいた。ベッドといっても鉄パイプの枠に布を張った簡素なもので、長さは約170センチ。案内してくれたベルンハルト・シュッテ館長(60)は「僕の身長は190センチだよ」と笑いながら語った。