しかも《動員実施決定後、予備役要員は許可なく登録地を離れてはならない》が《既に離れている者は、兵役機関からの通知後(直ちに戻れぬなら)指定場所に出頭しなければならない=第32条》とある。
条文にハッとした。2013年11月、駐日中国大使館は在日中国人に「重大な緊急事態」に備えて連絡先を登録する旨通達した。法律のいう《指定場所》には大使館も含まれる…。大使館は海外における《潜在》戦力の掌握と、イザというとき、本国の命に基づき動員命令を発布する司令塔だと、小欄は観る。
ありえぬ「リマ症候群」
冒頭で触れた尖閣諸島はじめ南西諸島への侵攻緒戦では《潜在》戦力を動員。九州や沖縄本島での情報収集や騒擾、通信・金融・交通・医療インフラ破壊を狙うサイバー攻撃を仕掛ける戦法は効果的だ。もっとも、大動員ではないだろう。専門性を伴う局地的隠密行動の上、敵地での専門家の非常呼集には限りが有る。実際、第49条は《特殊専門技術者は年齢制限を受けない》と徴用枠を広げている。第8条も《領土の完全性や安全が脅かされれば全国総動員》に加え《部分動員を決定する》と、別立てでわざわざ断る。