経済の専門書としては異例の世界的なベストセラーとなっている、格差拡大について論じた「21世紀の資本」の著者でフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏(43)が31日、都内の日本記者クラブで記者会見し、日本経済について「低成長の中で格差が広がっている」と警鐘を鳴らした。ピケティ氏は「若い世代を利する税制改革を行うべきだ」と述べ、高所得者ほど課税が重くなる累進課税の強化の必要性を強調。昨年4月の消費税率引き上げのほか、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の柱の一つである法人税の実効税率引き下げに否定的な見解を示した。ピケティ氏の主張は国会論戦でも取り上げられており、一段と関心が高まりそうだ。
アベノミクスと一線
「低所得者の所得の伸びよりも、高所得者の所得の伸びが大きいことが実感できるから、格差が問題視されている」
ピケティ氏は、自らの著書がベストセラーとなっていることをこう分析し、「(日本のような)低成長の国では所得が伸びず、さまざまな緊張を生んでいる」と指摘した。