かつてない逆風の中、「小沢王国」が底力を発揮し議席を守った。今回の立候補者の中で最多の16選を目指した生活代表で前職の小沢一郎氏(72)=岩手4区=の陣営では午後8時すぎ、当選確実の一報が伝わると歓声が広がった。
小沢氏は今回、安倍晋三政権が推し進める経済政策「アベノミクス」について、「国民の生活を苦しくさせるだけで、日本は格差の大きいいびつな社会になってしまう」と批判を強めた。ただ、結束を誇ってきた後援会組織の高齢化などによる求心力の低下にさらされていた。
その危機感の表れは、遊説日程に出ていた。小沢氏は選挙中盤に丸2日かけて地元商店街などで街頭演説をびっしりと行う異例の日程を組んだ。地元での選挙活動を長く秘書や家族に任せてきた小沢氏にとって、故郷での本格的な“どぶ板選挙”は約30年ぶりだった。
さらに、小沢氏は今回の衆院選で初めて比例代表に重複立候補し、票の掘り起こしとともに、選挙区敗北というリスクにも備えた。当選15回を誇り存在感を発揮してきたが、東日本大震災後、1年近く地元に戻らなかったことなどが尾を引き、徐々に勢いを失った。若さをアピールする自民前職の藤原崇氏(31)の台頭も脅威となった。(SANKEI EXPRESS)