オランダ語とフランス語、ドイツ語の文化圏が対立し、常に世論が割れることで知られるベルギー。この“分離国家”で今、国を挙げて、国民食であるフライドポテトを国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産に登録しようという運動が盛り上がっている。言語・地域間で「他と同じ」であることを嫌う国民性が染みついているベルギーでは、この一致団結は例外中の例外といえ、B級グルメが結ぶ国家の絆に注目が集まっている。
フライドポテトを文化認定
ベルギーでは1日から7日まで、縁日風の恒例イベント「フライドポテト週間」が行われ、この期間中に連邦政府が「来年にもフライドポテトの世界遺産登録を申請する」と発表した。ロイター通信などによると、この決定にフライドポテトの業界団体のスポークスマンは「フライドポテトはミニチュアの中の一つのベルギーそのもの。この認識が国全体で共有されたことは、驚きにも等しい喜びだ」と語った。
人口約1110万人のベルギーでは地域ごとに3言語が公用語になっており、使用者の人口比は、北部のフランデレン(フランダース)地域で話されるオランダ語が約60%、南部のワロン地域で話されるフランス語が約40%、東部のドイツとの国境地域で話されるドイツ語が約0.7%となっている。