東南アジアや中東など世界人口の4分の1、約16億人のムスリム(イスラム教徒)の観光客を増やそうと、日本各地の空港や飲食店、ホテルなどで戒律に従った食事の提供や礼拝場所の整備が加速している。国も2020年の東京五輪に向けて支援を強化。官民挙げての「おもてなし」が進みそうだ。
天ぷらに驚き
「日本では食事が難しいと聞いていたけど、ハラルの天ぷら店を見つけて驚いたわ」。8月初旬、北海道への旅行の途中で成田空港に到着したインドネシア人会社員、クスマさん(25)がほほ笑んだ。
ハラルはアラビア語で「許されたもの」という意味。イスラム教で摂取が禁止されている豚肉やアルコールを含まない食品などがハラルとなる。
成田空港では6月、グルメ杵屋(大阪市)のうどん店と天ぷら店が、マレーシアの機関からハラル認証を受けた料理の提供を始めた。「酒類の保管場所を調理場から隔離し、調味料や油からはアルコールと豚由来の成分を避けた」という。