フィギュアスケート男子でソチ五輪金メダリストの羽生結弦(はにゅう・ゆづる)選手が大きなアクシデントに見舞われたのは11月8日の中国杯でした。フリー直前に行われる公式練習で中国選手と激突。頭部や顎の下から出血する事態になりました。それから、3週間後のNHK杯への出場を決めた羽生選手の決断からは、五輪王者としての強い意思、そして責任感が伝わってきました。
演技直前の公式練習は通称「6分間練習」と言われ、公式大会では最大6人ごとにグループに分かれて滑ります。最終グループというのは、ショートプログラム上位6人のことです。その6分間は選手たちにとって、まさに最終調整の場なのです。
常に「衝突の恐れ」認識
最終調整といっても、ほとんどの選手は氷の感触を確かめる程度では済みません。昨今は難度の高い要素のプログラム構成になっていて、選手たちは気になる演技要素を一つ一つ確認していきます。