西アフリカでエボラ出血熱の治療に当たり米国に帰国後、病院に強制隔離され、現在も自宅からの外出禁止が続く女性看護師が29日、自宅がある東部メーン州を相手に隔離措置の即時解除を求めて提訴する考えを示した。エボラ熱の感染防止策として米国の一部の州が打ち出した医療関係者の強制隔離は、「英雄として接しなくてはならないのに、非科学的かつ拙速で基本的人権の侵害だ」(バラク・オバマ大統領)と反発の声が上がる一方で、中間選挙も控えた当該州の知事らは「州民を守る必要がある」と反論。全米で激しい議論が巻き起こっている。
提訴の意向を示している看護師は、カナダ国境に近いメーン州フォートケントのケイシ・ヒコックスさん(33)。
シエラレオネで治療従事
ヒコックスさんは医療支援団体「国境なき医師団」の一員としてシエラレオネで5週間にわたってエボラ出血熱患者の治療活動に従事した後、今月24日に帰国してニュージャージー州のニューアーク国際空港に到着。しかし、ニュージャージー州は隣州のニューヨーク州などとともに、海外でエボラ出血熱患者と接触した医療関係者らに対し、最終接触日から21日間の強制隔離措置を取っていたため、全米初の医療関係者の隔離事例となった。