北方領土などに対するソ聯軍侵攻での死傷者8万4000。過酷な強制労働により屍(しかばね)の山を築いたシベリア抑留者110万。安倍氏は、祖国に生還寸前だった同胞に想(おも)いをはせていない…。
必要な畏怖させる覚悟
「軍事は外交の一部」との国際常識を日本に求めるには、日本の国情は極端に国際とかけ離れている。領土問題で、ロシアが日本を交渉相手と扱ってきた理由は、日米同盟を意識してのこと。軍事が外交とリンクできない圧倒的不利な前提に目をつぶって尚、軍事・外交面で世界屈指の薄汚い手法を用いるソ聯→ロシアと外交決着を図るには、彼の国を畏怖させる覚悟だけでも示唆しておかねばならない。以下に触れる逸話とまでは昇華できずとも「平時の覚悟」は為(な)せば成る。
昭和20(1945)年8月、大日本帝國(こく)陸軍の軍人が示した覚悟は、ソ聯軍将兵を震え上がらせ、絶望的状況を挽回した。