韓国の仁川で開催中のアジア大会で、前半のハイライトは競泳の男子200メートル自由形だったろう。この種目には中韓を代表する国民的英雄がいた。
韓国の朴泰桓(24)は北京五輪400メートル自由形の金メダリスト。フィギュアスケートの「国民の妹」金妍児とともに、「国民の弟」と呼ばれ、絶大な人気を誇る。
中国の孫揚(22)はロンドン五輪400、1500メートル自由形で優勝した大スター。ちなみにロンドン五輪200メートル自由形では朴、孫の2人が同タイムで銀メダルを分け合った。
朴泰桓の名を冠に戴いた仁川のプールの決戦では、雌雄を決すべくリードを奪う2人に挟まれ、日本の20歳、萩野公介が追った。個人メドレーが本職の萩野だが、自由形も強化して臨んだこの大会。150メートルを3位で折り返すと、ワンストロークごとに差を縮め、最後は孫を100分の5秒差で逆転し、金をさらってしまった。
萩野がメドレーで強いことは中韓のファンも知っている。だがまさか、自由形で敗れるとは思っていなかったはずだ。