ベトナム戦争(1960~75年)で北ベトナム軍と共闘したベトコン(南ベトナム解放民族戦線)もゲリラ戦術を採ったが、交戦者資格を満たしており、テロリストではなかった。
パレスチナ側ほどではないが、イスラエル軍も進攻の度に国際法に違反する。国際法は順守しなければならない。と、「戦争にルールなど無い。戦争を無くすことが先決だ」と反論する人々が大勢いる。
当然、戦争無き世界は目指さねばならぬが、根絶は不可能だ。従って、人類は国際法を整備し「戦場の掟(おきて)」を定め、少しでも凄惨(せいさん)さを薄める努力をしてきた。戦争関係の国際法は理想を追求してなどいない。冷酷なまでの現実感に基づき定められているのである。
2973人もの人々が亡くなった2001年9月11日の米中枢同時テロでは、日本人24人も犠牲になった。ニューヨークの世界貿易センタービル内で勤務していた、大学體育會(たいいくかい)の1年生当時の主将(4年生)もその一人だった。墓に眠るのは遺品だけ。愛息に先立たれ、父君が絞り出すように発した七回忌での挨拶が忘れられない。
「テロを許さないでください。心から憎んでください」
米軍に勝てぬ“弱者”の国際テロ組織アルカーイダが犯した蛮行が《9・11》であった。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)