確かにおとりなど《奇計》について、ハーグ陸戦規則では《適法》、ジュネーブ条約第1追加議定書でも《禁止されない》とある。しかし、第1追加議定書は、降伏を装い、油断した相手を攻撃することや、民間人を装い奇襲する《背信行為》もまた禁止する。それ以前に、15歳未満の児童を兵士として使用することは第1・2追加議定書や児童の権利に関する条約など、国際法によって二重三重に禁じられている。
もちろん、ジュネーブ第4=文民条約では、民間人の戦争からの保護が担保されている。だが、ジェニンのケースは保護しようにも保護できない。民間人保護は、軍事行動はもとより破壊・スパイ活動など、敵対行為に参加しないことが大前提となる。敵対行為を受けた際、自己防衛目的の反撃が許される。パレスチナ側が主唱する“虐殺された民間人”の相当数が、テロ協力者だった。
テロリストでないゲリラ
正規軍だけでなく民兵やゲリラ、義勇兵=パルチザン、正規軍編成の時間的余裕がない場合の大衆蜂起にも交戦者資格は認められてはいる。ただし(1)遠方より識別できる標章を着用(2)公然と武器を携行(3)戦争法規・慣例に従い行動-しているなど、ハーグ陸戦規則やジュネーブ第3条約で定められた要件を満たしていることが条件となる。