この日はあまりに人気を集めたためか、当日配られていたプログラムから名前が削られていた。開演直前に場内に入ると、日本と寸分違わないオタクたちが、ライトをかざして「ウオー」とか「フー」とか奇声を発している。5000人を収容する会場は満員。ヘビーなオタクは1500人ぐらいだろうか。歌が始まると、ここは中野サンプラザか?と間違えるようなオタクの定型コールが起こるが、声のぬしたちは間違いなくフランス人。女性や中年、ヘタをすると初老のオタクさえ交じる。
憧れの対象
その中でベリーズ工房と℃-uteがそれぞれの持ち歌を披露するが、その姿は余裕に満ちていた。異国の地のスクリーンに映る姿で、人気の理由が納得できた。フランス人にとって日本のアイドルは、アニメから飛び出したキャラクターに見えるのだ。かつて僕のようなロック青年には、ビートルズやローリングストーンズが憧れのルックスだったように、アニメ世代のヨーロッパ人にとっては、日本のアイドルたちの姿がひどく洗練された風貌に見えている。実際、日本にいては見られないようなオーラも出ており、そのエキゾチシズムこそはCOOL JAPAN現象の核といえよう。