レコード会社を移籍し、心機一転、大快調な楽曲を詰めたアーバンギャルドの新作『鬱(うつ)くしい国』が完成した。「ワンピース心中」「さくらメメント」など、奇想天外な歌詞がスピード感を持って耳に飛び込んでくる。アバンギャルドとロリータ性が見事に折衷した楽曲群の切れ味はすさまじい。昨年はパリのジャパンエキスポでも好評を博した。世界への視線をリーダーの松永天馬に聞いてみた。
「ジャパンエキスポに参加して、ロックがかつてそうだったように、日本のオタク文化はもはや世界的なポップカルチャーであることを認識しました。われわれの音楽の内容も確実にアピールしていることも伝わりました」
「日本」がテーマ
彼らの特色は、ボーカルの浜崎容子のロリータ性にある。それはどう受け取られているのだろうか。
「ロリータ、少女性は日本の資本主義に根付いています。アイドルがその典型ですが『消費される少女』のイメージです。アーバンギャルドは、そんな少女の状況をアイロニカルに描いています。ある種、フェイク感ともとれるロリータ風味が、欧米で面白く受け入れられているようです」