【国際情勢分析】
韓国の首相候補が「親日的」だとされた過去の発言で、候補を辞退した問題をめぐり、韓国メディアが迷走している。大バッシングから一転、辞退前後になって保守系メディアが「発言をねじ曲げたテレビ報道こそ問題だ」と特定メディアの攻撃に転じた。批判の矛先は、国民の前で真意を語ろうとしない朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)に向けられ始めた。
大バッシングから一転
渦中の人となったのは、大手紙の中央日報主筆出身の文昌克(ムン・チャングク)氏(65)。「神がなぜ、日本の植民地になることを許したのか。神の意向があった。『お前たちは、無為な歳月を送った民族だ。試練が必要だ』と」。こうした教会での過去の講演内容をテレビ局のKBSが6月11日にスクープとして報じ、騒動に火がついた。
本来、「だからこそ努力が必要で、韓国人は試練を乗り越えた」という趣旨で、朴氏の父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領(1917~79年)ら経済建設に邁進(まいしん)したころの韓国人が少なからず、持っていた認識だ。