【アートクルーズ】
「北のモナリザ」-。オランダ絵画の巨匠、ヨハネス・フェルメール(1632~75年)の名作「真珠の耳飾りの少女」は、そんな異名をもつ。至近距離から眺めていると、肩越しにこちらを向く絵画の中の少女に逆に見つめられているような不思議な感覚に襲われた。
オランダ・ハーグの中心にあるマウリッツハイス王立美術館が約2年に及ぶ大改装工事を終えて報道関係者らに内部を公開。作業員たちがはしごに登り新しいシャンデリアを調整したり、掃除をしたり、金箔(きんぱく)を貼ったりと、6月27日のリニューアルオープンに向けて最後の仕上げ作業を行う中で鑑賞した。
青いターバンが印象的な少女とは初対面。見る場所を変えても、その瞳は追いかけてきた。わずかに開かれた唇から何を語りかけようというのか。空想しながらハーグの「宝石箱」と呼ばれる美術館の神秘的な珠玉をしばし独り占めにした。
改装工事中の約2年間、少女をはじめとする美術館所蔵の名作は、世界6都市をめぐる展示ツアーに出て、220万人以上もの来場者を集めた。特に東京での展覧会には、記録的な数の来場者が訪れ、大反響を呼んだという。