もっともジョーンズ監督は5年前に脚本を書き始めたときから、殊更に人間とテクノロジーの関係のみに焦点を当て、奇をてらった作風にしようなどとは考えていなかった。「現代は情報技術が発達した結果、人間と人間の関係がうまく築けないといわれていますが、昔だって別のことを言い訳にして同じことが起きていました。コミュニケーションの形は日々変わっていきますし、情報量が多いのが現在です。そんな状況の中で、私は人間と親密になろうと挑戦する姿を描きたかったのです」。ちなみに登場するすべてのキャラクターにジョーンズ監督の姿が少しずつ反映されているそうだ。
「She」ではなく「her」にした理由
主体性を持ったOSとの恋愛物語を描くことで、ジョーンズ監督が付けた原題「her」もおのずと実に示唆に富んだものだということが分かってくる。