20世紀美術の巨匠パブロ・ピカソ(1881~1973年)が19歳で描いた名作「青い部屋(浴槽)」の下に隠されていることが知られていた男性の肖像画について、所蔵している米美術館などの専門家チームが6月18日までに、蛍光X線による透過など最新技術を駆使して肖像画を浮かび上がらせることに成功した。AP通信が伝えた。男性の肖像画は「青い部屋」と同じ年に描かれたとみられているが、悲哀感が漂う「青い部屋」に対し、肖像画の作風は大きく異なっており、精神的なショックから「青の時代」を迎えるピカソの心理的な変化をうかがわせる内容となっている。
米チームが解析
「青い部屋」は、鉄鋼業で財をなした実業家一族の収集品を集めた米ワシントンDCの美術館フィリップ・コレクションが1927年から所蔵している。1990年代にX線調査で作品の下に別の絵が隠されていることが判明。近年、フィリップ・コレクションや国立美術館、コーネル大学などの専門家チームが編成され、最新の光学画像技術や蛍光X線を使い、数年がかりで隠されていた肖像画を浮かび上がらせた。同時に専門家チームは、顔料の分析などを行い、肖像画がピカソ本人の作品であることを確認した。