交渉開始直後に侵入したのは、主導権がロシアにある現実を示す。ロシア経済は好調ではないが、クリミアの編入でプーチン氏の国内での人気は上昇。一方のウクライナは多額の戦費と犠牲者の増大に直面している。
武力衝突に発展も
「プーチン氏が停戦を命じれば、武装勢力も応じるはず」とソースキン氏。だが、ロシア側に停戦を急ぐそぶりはない。
政治シンクタンク代表のビタリー・バラ氏は「クリミアから目をそらすため、ロシアは東部の混乱を長引かせている」とみる。長引く戦闘と経済の停滞は、欧州連合(EU)加盟を遠のかせる。「それがプーチン氏の利益そのもの。彼がいる限り、ロシアとの交渉は不可能だ」
ソースキン氏も停戦は不可能とし、武力衝突に発展する恐れすらあると指摘する。「ポロシェンコはトンネルの中にいる。EUを目指す国民が後ろから見つめ、左右に出口はない。プーチンのいる前に進むしかないが、どうやって平和的に交渉できるというのか」と頭を抱えた。