この長編作品は、ホラー小説というジャンルを私に教えてくれた、思い出深い一冊となりました。登場人物たちが恐怖の深みにはまっていくのと同じく、読み進める私もどんどん怖くなり、でも、もう止められない。恐怖の吸引力というのはすさまじいものがあります。びくびくしながら、なぜか次のページをめくってしまうのです。その日のうちに読了しましたが、大変面白かったにもかかわらず、同時に「こんなに怖いのを読んでしまった、しかも夜に」といささか後悔もしました。大人になるにつれ忘れてしまっていた、未知のものに対する原始的な恐れを呼び覚まされた感じがして、その日は子供のように、一人で寝るのが嫌でたまらなかった記憶があります。
しかし恐れというのは裏を返せば麻薬みたいなもので、もう一度あの恐怖刺激を味わいたいという思いが募り、私はそれから、ホラージャンルと呼ばれる小説を多く読むようになりました。