今年は祖父・五代目柳家小さんの十三回忌です。12年前の5月16日、87歳でこの世を去りました。月日がたつのは早いなぁと本当に思います。
この写真は2002(平成14)年2月2日、鎌倉芸術館(神奈川県鎌倉市)で行われた「第30回 鎌倉名人会柳家小さん親子三代落語会」の楽屋でのスナップ写真。訪ねて来られたお客さまに撮っていただいたものです。私と、叔父の現・六代目小さん(当時三語楼)に挟まれて祖父が写っていますが、この写真、僕はなかなか貴重なものだと思います。
「親子三代落語会」は僕が9歳で落語デビューをしてから全国いろいろなところで演(や)らせていただきました。でも楽屋でこんなふうに3人で撮った写真は、ほかにありません。演目は花緑「明烏」、三語楼「味噌蔵」、小さん「強情灸」でした。そして何とこの落語会が五代目柳家小さん生前最後の高座になったのです。
この日以降、亡くなるまでの3カ月半、五代目小さんは体調が崩れ、高座に上がれませんでした。それでも寝たきりということではなく、好きな物も何でも食べられました。淡々と、そして寡黙に人生の最期を迎えました。