対面の後に高座 通夜も欠席
そうして家に入り、亡くなって数時間がたった祖父と対面。すぐ起き上がってくるような、眠っているような顔をしておりました。ですので、僕は祖父が亡くなったという実感が持てませんでした。母(小さんの娘)も気丈に、今やるべきことに意識を集中しているようでした。
叔父の六代目小さんをはじめ、一門の先輩もどんどん家を訪れました。でも僕はその夜、またすぐ出掛け、老舗そば屋の藪伊豆総本店(東京・日本橋)であった「第26回・落語とそばの会」で、「狸の鯉」「子別れ」を演りました。
「頑張れー!」お客さんからかけ声が飛んできたのが忘れられません。数日後にはお通夜、告別式が執り行われましたが僕は舞台出演のため、そこに列席することはできませんでした。兄の小林十市もヨーロッパでバレエ公演中で、帰国することはできませんでした。僕は骨上げ(お骨を骨つぼに収める儀式)にだけ間に合いました。小三治師匠もインタビューで話していましたが、立派な骨で骨つぼに入り切らないほど太くて丈夫そうな骨でした。