イタリア人の影響
夫に先立たれた敬虔なカトリック教徒、マルガレーテ(ゼーゲブレヒト)には家族にも言えない秘密があり、「ローマ法王に会ってざんげしたい」と思い詰め、意を決して単身バチカンへ。行きがかり上、ローマにある潰れかけたドイツ料理店のシェフになると、シュニッツェル(カツレツ)やカイザーシュマーレン(卵を使ったデザート)といった自慢のドイツ料理をふるまい、店は大繁盛。また、老詐欺師ロレンツォ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)と出会う。やがて店の評判はローマ法王の耳にも届き…。
作中からは、ロレンツォのせりふにもある「愛の力にとても弱いイタリア人」の気質や、バイエルン州出身のマルガレーテのように慎重さと大胆さを併せ持った南ドイツ人の気質がさまざまに見て取れて、興味深い。「燃え上がって、混乱があって、くすぶっての繰り返しがイタリア人同士の恋愛スタイル。バイエルン生まれの私も彼らの影響を確実に受けていますよ。バイエルンとイタリアの距離はわずか100キロ程度だし、街には多くのイタリア移民が暮らしています。秩序を重んじるドイツ人気質は彼らの影響をどうしても受けてしまうんですよ」。ゼーゲブレヒトは独自の分析をしてみせた。