ワシントン・ポスト紙の社説は、「インドの政治文化にはこうした過激主義をはね返して抵抗する力がある」として、モディ氏が宗派対立ではなく経済成長に力点を置くことに期待を示して社説を締めくくっている。対するエコノミスト誌は「これまでの実績をみる限り、モディ氏はまだ宗教間の憎悪と縁が切れていない。インドにはより良い首相がふさわしい」と最後まで厳しく迫っている。
警戒するパキスタン
インドの隣国パキスタンの英字紙エクスプレス・トリビューンも4月7日付社説で、02年の宗教対立へのモディ氏の関与から、国内に広がるモディ氏への警戒感に言及した。折しも、パキスタンの現首相は、1999年に信頼醸成措置の構築やカシミール問題の解決などを目指す「ラホール宣言」に署名したナワズ・シャリフ氏(64)。現在も両国関係の改善に意欲を見せている。モディ氏もパキスタンと経済関係の強化を全面に出してくる可能性がある。
しかし、エクスプレス・トリビューンはモディ氏からアプローチがあっても、シャリフ氏は「インドに慎重な支持層からのすさまじい圧力にさらされることになるだろう」として、シャリフ氏が応じるのは容易でないとみる。両首脳が両国で強まるポピュリズムに影響される可能性もあるなか、エクスプレス・トリビューンは、人々のむき出しの感情より、「慎重な外交と健全な判断」を優先させるべきだと両国に呼びかけている。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)