欧州宇宙機関(ESA)とロシア連邦宇宙局が2016年から始める無人火星探査計画「エクソマーズ」の成否を担う探査車の実験場「マーズヤード」がロンドン郊外に完成し、4月1日までに報道陣に公開された。探査車は火星で生命の痕跡を探すため、地表で土壌サンプルなどを採取するが、その作業を完璧にこなせるよう、火星の地表を模したこの“巨大な砂場”で訓練を重ね、探査車の試作機の開発・性能向上も図る。ウクライナ情勢をめぐって亀裂が広がっている欧州とロシアだが、宇宙分野では連携を深めてきており、米国などに後れをとった火星探査でいよいよ巻き返しにかかる。
総工費8600万円
英BBC放送や米CNNテレビによると「マーズヤード」は欧州航空宇宙大手エアバス傘下のエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社が建設した。
広さはバスケットボールのコートほどで、米航空宇宙局(NASA)の火星探査車の探査結果をもとに、赤茶けた土壌にごつごつの岩を配置するなど火星の地表に似せた。施設内の色や明るさも火星に合わせた。使用した砂の量は300トン。総工費は約50万ポンド(約8600万円)だ。