インドネシアで4月9日、7月の大統領選の前哨戦となる総選挙(一院制、定数560)の投開票が行われた。最大野党の闘争民主党(PDIP)が躍進し、第一党となる勢い。一方、2期10年の任期を終えるスシロ・ユドヨノ大統領(64)率いる最大与党の民主党は、汚職問題などが響き、議席を大きく減らす見通しだ。
闘争民主党(現有94議席)は国民からの人気が高いジャカルタ特別州知事、ジョコ・ウィドド氏(52)を「党の顔」として大統領候補に擁立し、支持を広げた。単独で大統領候補を擁立できる112議席を上回る152議席の獲得を目標に掲げている。民間機関の開票調査では、民主党と連立を組む第二党のゴルカル党(現有106議席)も健闘している。プラボウォ・スビアント元陸軍戦略予備司令官を大統領候補に立てるグリンドラ党(現有26議席)はプラボウォ氏の「強い指導者」像を強調、若者や貧困層に浸透し議席を伸ばしそうだ。
大勢は9日中にも判明。選挙管理当局による議席確定は約1カ月後になる。
ジョコ氏は、2012年の州知事選で「庶民派」をアピールして旋風を巻き起こし初当選した。首都の交通インフラ整備や洪水対策を断行した実行力も評価される。有権者は、ジョコ氏が旧来の軍幹部や政党有力者とは一線を画し、汚職一掃や政治改革を期待している。