フィリピン中部を11月8日に襲った猛烈な台風30号による死者・不明者は、当初の推計を大幅に上回り、レイテ島だけで1万人を超す恐れがあることが明らかになった。現地の警察幹部がロイター通信などに語ったもので、レイテ島で台風が通過した地域の70~80%の建物が破壊されたという。島の中心都市タクロバンでは、沿岸部が台風によって発生した高潮に襲われ、がれきが散乱。建物は破壊され、車両が横転するなどし、衝撃のすさまじさを物語っている。
道路寸断で救援難航
タクロバン(人口約22万人)はレイテ島の北東部の海岸に面した港湾都市で、首都マニラからは南東約580キロに位置する。フィリピン政府は軍を動員して、水や食料、テントなどを輸送。救援活動を本格化させているが、通信網や道路が各地で寸断され、難航している。ベニグノ・アキノ大統領(53)は10日午前、タクロバンを視察、さらに米政府に対し、フィリピンでの救援活動を米太平洋軍が支援してくれるよう要請した。
マニラの日本大使館によると、レイテ島には約100人の日本人が居住しており、安否確認を急いでいるが、死傷者が出たとの情報はないという。