京都は鴨猟が盛んな湖西からも近く、街中にある普通の精肉店でも比較的簡単に手に入る鴨肉は、京ならではの食材といえそうだ。
鴨弘で使う鴨肉は、京の茶所、宇治で70日間飼育された京鴨。鴨は成育段階でストレスがかかると、肉の味に大きく左右されるという。段々畑が連なる丘の上にしつらえられた飼育場は、日がぽかぽかと当たり、吹き抜ける風もさわやか。そんな穏やかな場所で育った鴨を、それも朝びきされたものだけを使うというこだわりだ。
また、肉のうま味を引き立てる脇役の存在も欠かせない。白菜や菊菜、ネギ、水菜などの野菜も朝露とともに運ばれてくる、近隣の地場産ものを使うという。
癖なくジューシー
真っ白なお皿にたっぷり載った鴨ロースとつくねは1羽分2人前。鮮やかな赤と白のコントラストは色目も美しい。
鍋は銅鍋、カツオと昆布でていねいにひかれただしがすっきりと澄んでいる。火にかけてぐらぐらと煮立ってきた鍋に、鴨ロースをさっとくぐらせてしゃぶしゃぶでいただく。熱々のところを一口。