「最初は普通の人のように見えたけれど、あれ、この人、おかしいぞ、という感覚が徐々にやってくるように演じられたら。花子の不思議な存在感を、地表から1ミリ程度の微妙なさじ加減で地に足がついていないような形で表現したい」
今も昔も変わらない
この異色のファンタジーは、能作品から着想を得て生まれた。狂言師、野村萬斎(47)が芸術監督をつとめる世田谷パブリックシアターの企画「現代能楽集」の第7弾で、物語のもとになったのは能の狂女物「班女」の題材を借り、三島由紀夫が創作した「近代能楽集『班女』」。筋をなぞりながら、時代設定が書き換えられた3つの「班女」を読み比べると、時代が変わっても、恋する女の狂おしさには通じるものがあるとわかる。西田も「今も昔も人間模様や、人の心のコアな部分は変わらないんだな、と改めて気づいた」という。
それ急に言われても…
実は別の能作品3本を翻案して2010年に上演された「現代能楽集V」(作・川村毅、演出・倉持裕)にも出演。当時は、日舞からヒントを得た動きを身につけるのに苦心した。