1995年の目黒公証役場事務長拉致事件などに関わったとして逮捕監禁などの罪に問われたオウム真理教元幹部、平田信(まこと)被告(48)の裁判員裁判が東京地裁で1月16日から始まる。教団による一連の事件が裁判員裁判で審理されるのは初めて。約2カ月に及ぶ公判で平田被告は何を語るのか。社会を震撼(しんかん)させた凶行から約19年。法廷を見守る関係者の思いは…。
「生きていたんだな」
空に夜の気配が残る2012年1月1日早朝。元旦の静けさは、インターホンの呼び出し音で破られた。
「平田が出頭しました」
目黒公証役場事務長だった仮谷清志さん=当時(68)=の長男、実さん(53)は自宅を訪れた報道陣から意外な言葉を聞かされた。
部屋のテレビを付けると、見覚えのある名前を報じていた。「本当なんだ…」。清志さんの拉致事件に関わったとして平田被告が逮捕監禁致死容疑で特別手配されてから17年近くがたっていた。