東西冷戦の時代、米ソのチェスチャンピオン2人の戦いと彼らを取り巻く人間模様を描いたミュージカル「CHESS」。昨年の日本初演が好評を博した、このミュージカルのコンサート版「CHESS in concert」が、12月に再演される。昨年に続き米のチェスチャンピオン、フレディを演じる中川晃教(31)は「フレディの苦悩する内面にいっそう迫って見せたい」と、新たな目標を胸に、役に挑む。
心の揺れを歌で表現
フレディはチェスの天才。幼少期に父母から愛されず、孤独を味わった彼にとって、ともに試合を戦うセコンド、フローレンス(安蘭けい)が唯一の理解者だった。だがフローレンスは奔放すぎるフレディに愛想を尽かし、対戦相手アナトリー(石井一孝)のもとに走る。「ただ一人だけ信頼し、愛や安らぎを与えてくれたフローレンスの裏切りは、フレディにとって全てを失うのに等しい」
失意のフレディは第2幕、チェスを辞め、TV業界に入る。心の穴を埋めるかのように夜の歓楽に溺れ、“絶望と享楽は紙一重”などと歌う。