宝塚時代、最長不倒の約13年間、トップ娘役を張り続けた花總まり(40)が、日本初演の注目ミュージカル「モンテ・クリスト伯」(山田和也演出)でヒロイン、メルセデス役を演じ、本格再始動の舞台に立つ。「退団後もどちらかというと『宝塚』という空気の中でやってきた。この作品はこれから踏み込む『そうじゃない世界』への入り口になると感じています」と、普段は柔和な表情を、きりっと引き締めた。
期待を裏切りたい
「モンテ・クリスト伯」は仏の作家アレクサンドル・デュマの小説(日本では「巌窟王」で知られる)が原作。フランス革命後の混乱期、メルセデス(花總(はなふさ))との結婚を目前に、恋人エドモン(石丸幹二)が無実の罪で牢獄につながれ、2人は引き裂かれてしまう。エドモンは炎のごとき執念で牢をうがち、14年後に脱獄。モンテ・クリスト伯と名乗り、陥れた者たちへの復讐に打って出る。だが、メルセデスは、愛する人は死んだ、とだまされエドモンの敵モンデゴ(岡本健一)の妻となっていた。
「私だったら…って置き換えますよね。モンデゴとどんな気持ちで結婚したのか、メルセデスの心の葛藤、過ごした時間の流れをきちんと考えたい」と恋人が消えて以降、メルセデスが味わった苦渋をおもんぱかりながら「いい意味で、見る人の期待を裏切りたいですね」と役作りを楽しむ様子も見せた。