韓国政府の足かせにも
「反日」化の皮切りは、01年8月に憲法裁判所が出した慰安婦関連の判決で、韓国政府が慰安婦の賠償請求権に関し、解決に向けて努力しないのは違憲だとした。その後も腑に落ちない事例が相次ぐ。ソウル高裁は今年1月、靖国神社に放火した疑いのある中国人容疑者の身柄について、日本への引き渡しを拒否。日本側は、日韓犯罪人引き渡し条約に基づき、引き渡しを要請していたのに「政治犯」と認定し、中国に帰国させた。
大田地裁も2月、長崎県対馬市の寺院から盗まれ、韓国で見つかった仏像について、両国が加盟しているユネスコ条約で盗難文化財の返還義務が規定されているのを知らないかのように、返還を当面差し止める仮処分を決定した。
韓国は、三権分立がきちんと成立している先進国である。あらゆる司法の判断は、司法が独自にしたものであって、政治が関与したわけではあるまい。しかし、それは韓国政府の行動を縛ることになるのである。
「韓国は自由や民主主義、基本的人権などの価値を共有する最も大切な国だ」
安倍首相は(11月)14日、日韓間の交流活動を行う「韓日協力委員会」のメンバーが官邸に表敬に来た際、日韓関係の重要さを説いた。けれども、膠着(こうちゃく)状態に陥っている日韓関係に光明が差す気配はいささかもない。(松本浩史/SANKEI EXPRESS)