オバマ米政権はイランの核兵器保有阻止に向け何とか“一里塚”を築き、シリアの化学兵器使用をめぐる対応で国内外に印象付けた威信低下にも一定の歯止めをかけた。だが、イランに譲歩したことには議会が早くも反発している。イランのロウハニ大統領側も就任から約3カ月半で「外交的成果」を挙げたことは政権基盤の強化につながるが、米欧を敵視する国内の強硬保守派の声は無視できない。双方とも、国内に“抵抗勢力”を抱えており、今後の交渉は前途多難だ。
早くも米議会反発
オバマ大統領は11月23日夜、合意を受けて声明を発表し、「外交がより安全な世界への新たな道を開いた」と、意義を強調した。合意には、関連施設への厳格な査察も含まれており、米政府高官はイランの核兵器保有阻止が「大きく進歩した」と自賛する。
オバマ政権は8月、シリア問題で軍事行動を強く示唆しながら、ロシアの仲介で一転してブレーキをかけたことで、外交面での威信の低下を印象づけた。このため、今回の合意で指導力を発揮し、失地回復を狙っていたとの見方もある。