いや、先生、100歳まで長命でいてください。未詳倶楽部の面々は、この先生の哀しみを是非とも分かちもちたいと思ったことである。
【KEY BOOK】「冬の家族」(岡野浩彦著/短歌新聞社、700円)
岡野先生は大正13(1924)年生まれ。皇学館普通科をへて、戦争直後の昭和23(1948)年に国学院大学を卒業した。学生時代から折口信夫の鳥船社に入って短歌を学び、戦後は師と同居して、その死を看取った。本書は1967年の第1歌集。「飛鳥川みなかみふかくたどり来て肌へに徹(とほ)る雨を耐へをり」「読みが減り信ずるゆゑに美しき明日香の御代の魂ごひの歌」「ほそぼそと我が名を呼ばす声すなり。あかとき暗き部屋のもなかに」。