【BOOKWARE】
今年のマツタケは量は少ないが大振りで、おいしいらしい。日本人は春はタケノコ、秋はマツタケ族になる。もっとも国柄によってキノコの好みはそうとう違う。イギリス人はマッシュルームが大好きなくせにそれ以外のキノコを最近まで食べなかったし、フランス人はトリュフとジロールで、安いものではポルチーニに目がない。イタリアではキノコのことを「フンギ」と言うのだが、ほぼ何でも食べる。パスタとキノコの茹で具合はイタリアの哲学なのだ。
ホクトのCFに「菌活」という言葉が出てくる。スーパーで買い物している鈴木砂羽(すずき・さわ)に若い男が寄ってきて、「ねえ、立派なキノコはどっち?」と迫り、鈴木が手にしたキノコ商品の手を引き寄せると、画面に「菌活・ホクト」という文字が出る。
まさにキノコは菌類である。かつてはリンネに従って隠花植物に分類されていたが、1930年代にバークレイとコープランドが植物から分け出す案を出し、69年にホイッタカーが「生物5界説」を提案して、植物は「光合成」によって、動物は「消化」によって、菌類は「吸収」によって生きているというふうにした。キノコは体外に分泌する酵素によってさまざまな有機物を分解し、これを吸収して「菌活」しているわけなのだ。